稲佐の浜:令和三年、神在月の出雲紀行④

稲佐の浜の弁天島 未分類
稲佐の浜の海岸線にデンと佇む弁天島の上にある鳥居と社
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令和三年(2021年)十月の『神在祭』期間中、 現地の出雲地方では『神在月』と呼ばれる時期に、 八百万の神々が集う出雲を旅してきました。

旅の日程は、こちらを参照。

今回は『稲佐の浜と弁天島』について、 事前に調べたことと、 現地リポートを書き綴りたいと思います。

稲佐の浜の弁天島
稲佐の浜の海岸線にでんと佇む弁天島の上にある鳥居と社

出雲参拝は『稲佐の浜』 から始まる

出雲参拝は、「お伊勢参り」ほどではないですが、 事前に知っておいた方が良いことが結構あります。

「大社参拝前に稲佐の浜へ行っておいた方がいい」、 というのもその一つです。

『稲佐の浜』と『弁天島』はどこにあるのか

出雲大社を西へ2kmほどの場所に、 『稲佐の浜』 と呼ばれる、神話の舞台となったと云われる海岸があります。

出雲大社の『勢溜の鳥居』の前を走る国道431号線沿いを道なりに西へ進むと、 ぽっこりと大きな岩が佇む不思議な光景の海岸が見えてきます。

国道431号線を海岸まで歩いていくと見えてくる弁天島

海岸近くに駐車場があるにはあるのですが、 ブログ主が行った『神在祭』の期間など混雑する時期は、 何時間も待たなければ停められないようです。
事実ブログ主が訪れた時も、 新型ウィルス禍の影響で例年と較べ参拝客は少なかったにも関わらず、 海岸線の道路は駐車場の入口まで空き待ちの車で長蛇の列ができていました。

出雲大社からの道中に立ち寄っておきたいお社なども多いし、 歩けない距離でもないと思われるので、 健康な方は徒歩でのんびり周辺散策しながら行くことをお勧めします。

なぜ大社参拝前に『稲佐の浜」へ行くのか

出雲参拝に来たのだから、真っ先に大社にご挨拶に伺いたいところです。

が、ちょっと待ってください。

この『稲佐の浜』には、大社参拝前に立ち寄っておいた方が良い。
そして、両掌ひと掬いほどの「浜のお砂」を、 持参した袋や容器などに納めて大社に持っていってください。

容器はなんでもいいですが、 レジ袋なんかは鞄とかに入れた際に砂が漏れて惨事になる、 という話がネット上にも散見されるので、 ブログ主はこのような100均で買ったミニタッパーを持っていきました。 量的にもいい感じです。

100円ショップで買えるミニタッパー

さて、なぜ大社参拝前に浜のお砂を持っていくのか、 の理由を説明します。

素鵞社のお砂について

出雲大社の境内に、 『素鵞社(そがのやしろ)』 と呼ばれる摂社があります。 素戔嗚尊が祀られており、真後ろに聳える八雲山のパワーを 常に受け続けているお社です。

ちなみに、八雲山は禁足地となってて立ち入ることができませんが、この素鵞社の裏手にある岩盤には触れることができます。
触れば八雲山の霊力を授かることができるそうなので、他の参拝者のお邪魔にならない程度にいっぱい触っておきましょう。

その素鵞社の社殿の床下に、大量のお砂が入れられた木箱がいくつか置いてあり、 そのお砂も社同様に「八雲山の霊力」を常に受けています。

木箱の中のお砂は参拝者は持ち帰って良いことになっており、 自宅の敷地の四隅にお砂を埋めておくと、 家に及ぶ厄疫や災難から守ってくださるそうです。

しかしこの「お砂」、 持ち帰る際に大事なルールがあります。

「持参した『稲佐の浜の砂』より少ない量のお砂と 交換で持ち帰る」

そうです。 この素鵞社の『お清めのお砂』をいただくためには、
『稲佐の浜の砂』
を持参しなければいけないわけです。

参拝時に知ってしまうと、浜に行って再度大社の鳥居をくぐることに。

出雲の神様に「なんだなんだ何度も」と思われないように、 出雲大社参拝前に稲佐の浜を詣でてお砂をいただいておく。

ここのブログ主のようにご利益に拘る方は、夢夢お忘れなきよう。

『お清めの砂』をいただく手順

せっかくなので、お砂をいただく手順も記しておきます。

素鵞社の参拝を終えたら、

  1. 向かって左手に進む
  2. 一番手前の木箱に、持参した「稲佐の浜のお砂」を入れる
  3. さらに時計回りに進んで、八雲山に一番近い木箱のお砂をいただく
  4. 八雲山の岩肌に触れて霊力を授かる(他の参拝客のお邪魔にならないよう注意)
  5. もう一度社の正面に立ち、一拝して去る

以上のことを知っておくとスムーズに参拝できますね。

『国譲り』神話の中の『稲佐の浜』

出雲にまつわる神話を知っておくと、旅に聖地巡礼感が出て、 さらに楽しめます。

『稲佐の浜』にまつわる神話といえば、 『国譲り』。

どのようなお話だったかおさらいしておきましょう。

『国譲り』の舞台は『稲佐の浜』

稲佐の浜にまつわる神話といえば、記紀(古事記、日本書紀)にも出てくるこの 『国譲り』 のお話。

記紀、風土記、ヲシテ文献によって内容に差異が生じていますが、 高天原(という国?)が、葦原中国と呼ばれる場所を、 交渉により譲り受けた、 という大まかな話の流れは、どの書物でも大体同じです。

何度か失敗した(交渉の使節を送り込む度に葦原中国に懐柔される) その交渉の最後に高天原から遣わされた神が有名な、 武甕雷命(タケミカヅチノミコト)。

この時は、まぁ交渉というより強要という感じに描かれていますが・・ なにしろ武甕槌命は自身の力の鼓舞と威嚇のために、 巨大な岩(これが浜にデンッと佇む『弁天島』と云われています) を担いでやってきたそうなので・・・

この最終交渉の時の舞台となったのが、この 『稲佐の浜』 と云われています。

簡略化するとこういうお話の流れです。

ただ、ブログ主が興味を持って調べている一連の『ヲシテ文献』では、 少々内容が異なっています。 語り出すと長くなってしまうので、その辺はまた別の機会に語ろうと思います。

存在感ありすぎる『弁天島』

出雲大社から”やまね通り(国道431号線)”を通って浜まで辿り着くと、 ほぼ真正面に見えてくるのが弁天島です。

海岸線に突如デンッっと佇む様は存在感ありすぎてある意味異様です。

波に削られていったにしても周囲に岩場からは結構距離あるし、 まるで誰かが置いて行ったかのようです。

神話の中で、武甕雷命が自分の力を誇示するために、 『千疋岩』なるバカデカい岩をどこぞから軽々と持って浜に上陸してきた、 という逸話もあるので、この弁天島がその千疋岩ではないか、 と伝えられています。

因みに、弁天島の頂上付近に建てられている社に祀られているのは、 武甕雷命ではなく、 神武天皇の祖母とされ、竜宮の姫と呼ばれる『豊玉毘売命』です。

不思議ですね。

このへんの神話の考察はまた後日このブログで語りたいと思っています。

近辺のカフェなど

出雲大社から徒歩だとけっこう歩くことになるので、 稲佐の浜近辺に休める場所が欲しいところです。

Googleマップで調べた限り、1軒だけありました。

『出雲甘酒 173coffee』さんという、 海岸線を見渡せる2階席がある、かなり良さげなカフェがあります。

が・・・残念ながら(2022年1月12日)現在、臨時休業中みたいです・・ 昨今の新型ウィルス禍の影響でしょうか・・ ブログ主が行った時(2021年11月中旬)にすで休業されていたので、 けっこう長期に渡り休業されてるようですね。 営業再開が待ち遠しいです。

というわけで、残念ながら現状は出雲大社付近まで戻らないと、 休憩できそうなお店はないようです・・・

出雲大社に戻る前に立ち寄りたい上社と下社

稲佐の浜から大社方面へ100mほど戻り、 “やまね通り(国道431号線)”を一本北に入った小道に、 出雲大社の境外摂社である、 『上宮(かみのみや)』と、 末社である 『下の宮(しものみや)』 が並んで坐しています。

出雲大社 境外摂社 上宮

神在祭の期間中、出雲に集結した八百万の神々は、 連日連夜、このお宮で『神議り(かむはかり)』と呼ばれる、 翌年の諸事を決める重要な会合を開いているそうです。

そういう重要なお宮なので、 神在祭の期間中は会合のお邪魔にならないように、 一際静粛を保って参拝しましょう。

出雲大社 末社 下の宮

天照大御神が祀られているようです。 社の方向的に伊勢とは真逆の方向に拝礼する形になりますが、 どうやら神宮(伊勢神宮)を遥礼する祠のようです。

知らずに歩いてると見過ごしてしまいそうなほど、 こじんまりとしたお社です。

順路的に大社を参拝する前後は関係ないそうなので、 稲佐の浜からの帰路に立ち寄ると良いか思われます。

まとめ

今回の記事を要約すると、

  • 出雲参拝では先ず『稲佐の浜』へ行く
  • 『稲佐の浜』で両掌ひと掬いほどの『浜のお砂』をいただく
    • お砂を入れる容器を忘れずに持参してくる
    • 出雲大社境内摂社『素鵞社』でお砂を交換する
  • 出雲大社の祭事期間中は駐車場が混み合って車だと不便
    • 徒歩の方が近辺のお社なども廻りやすい
  • 神話を知って行くと、より「聖地巡礼」感が増す

以上、ブログ主が『稲佐の浜』について調べた情報をまとめました。

この記事が、 これから出雲参拝に向かわれる方々の旅の一助になれれば幸いです。

次回は、『出雲大社の廻り方』について綴ってみたいと思います。

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