令和三年十一月、出雲地方では『神在月』と呼ばれることもあるその時節に、出雲の神社を廻ってきました。
過去7回に渡っているこのシリーズ、8回目に紹介します神社は、
『塩冶神社(鹽冶神社)』。
多くの人にとっては聞き慣れない社名の神社かもしれません。
著者自身、記紀やヲシテ文献などに興味を持たなければ、知らないまま一生を終えていたかもしれません。
出雲國風土記の一節に『夜牟夜社』という社名で登場するこの神社。
参拝してみると、社殿も御神職の方も、ほわほわと素敵な空気を醸し出すお社でした。
著者の旅行記も交えつつ紹介していきたいと思います。
なお今回の出雲紀行の過去記事については、こちらをご参照ください。
『塩冶神社』への行き方
最寄駅
塩冶神社の最寄り駅は、
電鉄出雲市駅、
もしくは、
JR出雲市駅
になります。
最寄駅から1〜1.5kmほどの距離に在ります。
徒歩
健康な成人男性の足で15~20分程度で着きます。
東寄りのルートの方が細い道が多く、車の交通量が少ないようです。
でも神社の階段、けっこう昇ります!
バス
最寄りのバス停は、
一畑バス『三本松』バス停
になります。
JR出雲市前のバス停からなら所要5分程度です。
その『三本松』バス停からほぼ真東へ約550m。
健康な成人男性の足で所要5~10分程度になります。
『塩冶神社』とはどのような神社なのか
出雲大社をはじめ強力な知名度を誇る神社が数多く在る出雲地方にひっそりと佇むこの
『塩冶神社(”鹽冶神社”と書くのが正式のようです)』。
ネットなどで調べてもなかなかに情報が少なく、まとめるのに割りと苦労しました。
祀られる『鹽冶毘古命』、『鹽冶毘賣命』とは
境内にあった御由緒の表記によると、『塩冶神社』の御祭神は多く、
- 鹽冶毘古命
- 鹽冶毘賣命
- 鹽冶毘古麻彌命
- 焼太刀大穂日子命
- 誉田別命
- 事代主命
- 大山袛命
- 塩冶判官高貞命
の八柱とあります。
筆頭の『鹽冶毘古命(エンヤヒコノミコト)』について調べてみましたが、どうやら 『二荒神』とも呼ばれる『高彦根命(タカヒコネノミコト)』の長子であられるようです。
『高彦根命(タカヒコネノミコト)』は『大国主命』として知られる『大己貴命(オホナムチノミコト)』の第三子です。
乗馬に長けた家系のようで、天子にも乗馬を教示していた一族とのこと。
代々『馬の君』とも呼ばれていたそうです。
御名にある『塩冶(鹽冶)』は古代の地名らしく、
「当時、鹽冶郷を治められた産土神(うぶすながみ)として郷民に崇敬されていたのは確かであり….」
と先述の御由緒にもあるので、地元民に愛された出雲地方の盟主だったようです。
次の『鹽冶毘賣命』は、先述の御由緒によると『鹽冶毘古命』の妻神ということです。
『鹽冶毘古麻彌命』は不明ですが、おそらく何代か後の御子孫であろうと推測します。
『焼太刀大穂日子命』は天照大御神の第一子であられる『天穂日命(ホヒノミコト)』であろうと推測します。
『誉田別命(ホンダワケノミコト)』は鎌倉時代の武家が台頭してきた折に合祀されています。
『塩冶判官高貞命』は忠臣蔵の塩谷判官ですね。
文献の中の『塩冶神社』
このシリーズで度々お世話になっている『出雲國風土記』の「神門郡(かんどぐん)」条に登場する『夜牟夜社』が、現在の『塩冶神社』と比定されているようです。
社殿について
現在の御社殿は江戸時代の正徳三(西暦1713)年頃に建て替えられたのだそうで、それでも300年以上の歴史があります。
建て替え前は現在より少しだけ西側に坐していたそうです。
『塩冶神社』の狛犬様
上の写真が『塩冶神社』の狛犬様です。
尻尾が特徴的でピンッと天に伸びています。
失礼かもしれませんが、なんか可愛いですね。
社務所について
社務所は日中でも稀に無人になることがあるらしいです。
用事がある場合は、事前に電話などで確認したほうが良さそうです。
御朱印
いただいた塩冶神社の御朱印です。
めっちゃかわいくないですか?。
御神塩
女子ウケしそうなオシャレでかわいい包装に入れられた「御神塩」。
製塩なので料理などにも使えるそうです。
これで味付けしたらめっちゃご利益ありそうですね。
夫婦円満、家内安全にご利益があると書いてますね。
塩冶神社を参拝した感想
著者が参拝した際、社務所にいらした女性の神職(巫女様?)様にいろいろ お話を伺えたので、なんとかこの記事をまとめることができました。
調子に乗っていろいろ訊いて長話になってしまいご迷惑だったかもしれません。
著者もこの後「献上そば 羽根屋本店」さんで出雲そばを頂く予定だったのですが、時間が押してしまい昼飯抜き、となってしまいました・・笑
イチョウの落ち葉で❤マーク
こちらの神社、かなりセンスの良い遊び心満載で、イチョウの落ち葉で写真のような❤マークをこしらえていました。
先立っての女性神職さんのセンスでしょうか、かわいいですね。
ご利益について
社務所で伺ったところ、
- 豊漁
- 航海の安全
- 商売繁盛
- 武運長久
- 家内安全・夫婦円満
のような祈願にご利益がある神社とのこと。
お仕事関係の願い事に強そうですね。
まとめ
著者的に『塩冶神社』をまとめますと、
- 『塩冶神社』は各線出雲市駅から徒歩で行ける神社
- 主祭神の『鹽冶毘古命』は、大国主命の御孫らしい
- 『出雲国風土記』にも登場する知る人ぞ知る神社
- 「お仕事関係」の願い事に強い神社
- 境内にいろんな「かわいい」がいっぱいある神社
といったところでしょうか。
また出雲に行くことがあったら是非また参拝したいですね。
この記事が、これから『塩冶神社』を参拝される皆様の一助になれれば幸いです。
次回は『万九千社(まくせのやしろ)』の参拝レポートをお届けします。