令和三年(2021年)の11月16日〜18日の2泊3日で、
出雲路を旅してきました。
今回はその『出雲旅』の現地レポートと、
旅立つ前に調べたことの備忘録です。
まとめてみると思いのほか長くなってしまったので、
記事を以下のように数回に分けます。
リンク貼られてるのが書き上げた記事なんで、
立ち寄ってあげてください。
以上の情報が、これから出雲を旅する方々の一助になれれば幸いです。
旅の動機
その夏の終わり頃から大量かつ一気に舞い込んできたお仕事のおかげで、2ヶ月ほど働き詰めだったストレス解消がしたかったのと、
それを何とか斬り抜けた解放感が重なり、なんとなく旅に出たくなりました。
というのが令和3年の10月に入ってすぐの頃の話。
「来月11月だし、出雲は 神在祭 の時期だなぁ・・・」
毎年のように、
「神在月の出雲旅行」
を思いついては、11月という年末に向けて公私共に割りと忙しい時期に追われ、立ち消えしていきました。
特に昨今は新型ウィルス禍で、近場に旅行をしただけで方々から叩かれる風潮なので、尚さら行きづらい状況でした。
しかし、がむしゃらに仕事こなした結果、ぽっかり空いた自由な時間。
頑張った自分へのご褒美ということで有効活用したい・・・
幸い新型ウィルス禍も沈静化の傾向で、むしろ
「窮地の旅行業会を助けよう」
という空気もある。
「これは出雲に呼ばれているのではないか」
という主観的思考に囚われ、勢い旅行の計画を立て始めてしまいました。
今回はその勢いで調べた『神在祭』について自分なりにまとめてみました。
神在祭とは
旧暦十月十日(令和三年(2021年)度は11月14日)から一週間ほどの期間、
出雲大社では『神在祭』というお祭りが毎年執り行われます。
神在祭が始まる前日の夕方頃、普段は日本各地を守られている、
八百万柱とも云われる神々が出雲の地に一堂に集まる、
と云われます。
出雲に行ってしまうので土地の神様が留守になる。
この期間(旧暦十月)を「神無月」と呼ぶ由縁なのだそうで。
逆にその時期、出雲地方には全ての神が御坐します。
他の地方とは逆で、
神が”在る”ので、「神在月」。
十月を出雲地方だけはそう呼ぶのだそうです。
面白いですね。
『神在祭』は、この神々が集う”神在”を祝って執り行われる祭事です。
期間中には以下のような祭事も執り行われます。
神迎祭
『稲佐の浜』と呼ばれる、大社から西へ1.2kmほどの場所に在る海岸から、
神々は上陸するそうです。
なので毎年の旧暦十月十日に、稲佐の浜では、
「神迎祭」
という、人々が神々を迎えるための神事が執り行われています。
次の稲佐の浜に関する記事で詳細を書こうと思いますが、
出雲大社に参拝する前に、『稲佐の浜』に立ち寄って、
浜のお砂をいただいておくことを強くお勧めします。
大社の境内摂社の『素鵞社』で、
八雲山の霊力を浴びた“清めのお砂”をいただけるのですが、
持参した”稲佐の浜のお砂”と交換すること、
という暗黙のルールがあるのがその理由です。
なので出雲に着いたらまず、
稲佐の浜に行きましょう。
神諮り
『神諮り』は人が執り行う行事ではないですが、一応紹介します。
神迎祭の日に宴を大いに楽しんだ神々は、
翌日から出雲大社の境外摂社である『上の宮』の本殿で、
『神諮り』と呼ばれる会合を開くのだそうです。
『神諮り』では翌年の諸事が話し合われると云われます。
そのため、人々は神在祭の期間中に翌年の五穀豊穣や平穏無事など、
あらゆることを祈願します。
その中には「人々を結ぶ縁」も含まれます。
そのことが周知されるようになり、神在月には人との縁を求める人々が
出雲大社に集まるようになりました。
夜神楽特別祈祷
『神在祭』が行われる最初の1週間、毎日19時(新型ウィルス対策期間中は
17時)から、申し込みした参拝者の幸栄(さきはえ)を祈祷する、
『夜神楽特別祈祷』
が神楽殿にて執り行われます。
夜神楽の申し込みは、神楽殿向かって左手に受付所があるので、
そこで申込用紙をいただき、すぐ横にある筆記用の台で
住所と氏名、願掛けの項目を選んで、書き込んで、
先ほどの受付所に初穂料(通常5千円程度)と一緒に納めます。
住所、氏名は式で祝詞と共に読み上げられる(住所は市町村まで)ので、
読みやすい綺麗な字で書きましょう。
私のように汚い字で書くと、唱えられる神職の方もつっかえてしまい、
大変申し訳ない気持ちになります・・・・
ブログ主も令和三年度の神在祭の時期に出雲参拝した折、
参加させていただきました。
初の経験でしたし、知ったのも出雲大社でご年配の参拝者の方から
教えていただて、その場で参加を決めたので、
事前情報はほぼない状態でしたが、
特に困ることはありませんでした。
大まかな式の流れは以下のようになります。
開始のご挨拶の後、
太鼓の音が下腹に響く壮大な雅楽演奏で始まり、
二人の巫女様による御神楽が舞われます。
その後、神職の方による祝詞が奏上され、
すべての参加者の住所(都道府県と市町村のみ)、
氏名、願掛けの内容が読み上げられます。
それから地区ごとに代表者がランダムに選ばれ、
その地区の人は立ち上がって、清めの祓いを受けます。
一巡すると一人ずつ名前を呼ばれ、神前に赴き、
玉串と呼ばれる榊の枝を頂き奉納します。
最後に祝詞を相乗された神職の方によるお話を賜り、解散、となります。
出口付近で、御神酒と神在餅(じんざいもち)が振る舞われるので、
忘れずにいただきましょう(ブログ主は知らずに出ていこうとしたところ、他の参加者の方に呼び止められ教えていただきました。ありがたい・・)。
縁結大祭
神在祭の期間中に、出雲大社では『縁結大祭』という、
神々と人々との「幸栄(さきはえ)の縁」を祈願をするお祭りが執り行われます。
事前申込みした参列者の良縁を祈願する祝詞もあげられる行事も
同時に執り行われます。
しかし残念ながら新型ウィルス禍に配慮して中止されています。
令和四年こそなんとか日常が取り戻したいですね。
参列申し込みや問い合わせは、出雲大社公式サイト のフッター部分(一番下)にある社務所の連絡先で受け付けているそうです。
神等去出祭
出雲から各地に戻っていく神々をお送りする祭事です。
神迎祭から1週間後と2週間後の2回、執り行われます。
この祭りをもって神在の期間が終了となり、
出雲地方も、日本各地も、神が在る日常に戻ります。
今回の記事は以上です。
出雲参拝を予定されてる方々の参考になれれば幸いです。
参拝はいつ頃が良いのか
では、神在祭の最中に出雲参拝したい場合、いつ頃行くのが良いのか、
をまとめてみます。
神在月は“旧暦”の十月!
まず、ここが一番重要なとこです。
『神在月』は、出雲地方以外では『神奈月(神無月)』、つまり十月なので、
ついつい現代の暦である10月に行ってしまいそうになります。
が、出雲に八百万の神々が集まると云われる神在月(神無月)は、
「“旧暦“の十月」、
です。
旧暦は太陰暦なので、現代暦で使われている太陽暦とは違い、
「月の満ち欠け(朔望)」を基準に暦が運用されていました。
月の満ち欠けの周期は約29.5日なので、
ひと月が29日(小月)と30日(大月)の組み合わせ+閏月、
で運用されるので、現代の暦と毎年24日分ずつズレていくわけです
(ちなみに、明治政府が太陽暦を採用したのは、
お金がなかったので公務員などに支払う給料を、
このズレを利用して約1ヶ月分減らしたかったから、
というオモシロ悲しい説もあります)。
今年、令和四年度(2022年度)の神迎祭、つまり旧暦十月十日は、
11月3日(木)
となります。
お間違えなきよう。
そもそも神在祭の期間に参拝する必要は?
ここは見解が分かれるところ、のようです。
本来『神在祭』は、
先述のように日本中から八百万の神々が出雲に集い、
『神諮り』と呼ばれる、翌年の諸事を決める厳粛な会合が、
出雲大社の上の宮にて連日開かれる、
という神聖な時節。
依って、かつて出雲地方にいる人々は神在祭の期間中、
神諮りの邪魔にならないように騒ぎを控え、静粛を保った、
と云います。
そのような時期に出雲の地を余所者がずかすかと訪れるのはどうなのか、
という否定的な意見も一部にはあるようです。
一方、普段は互いに見知ることの叶わない
神々と人々とを引き合わせるための祭であり、
正に天地の『縁を紡ぐ』時節なので、人も出雲に集うのが良い、
とする見解もあります。
ブログ主自身は、
後者の意見の方がいいな、
と単純に、感覚的に、思っています。
人が多く集うことで、人々が出会い、縁も紡がれる。
それを快く思わない狭量な神様はいない、
と思われるからです(まぁ八百万柱もいらっしゃるそうなので、中には偏屈な神様もいたりするのかもしれませんが・・・)。
ただ、その辺のことを私の参拝時に出雲大社の神職さんに伺ったところ、
大国主の神様は、時期に関係なく参拝に来られたすべての方を覚えていて、
神諮りの時に願掛けを議題に挙げてくださるのだそうで、
特に『神在祭』の時期の参拝に拘る必要もない、
とのこと。
出雲の神様はいつでも、我々の願いに耳を傾けて下さっているようです。
なので私の中の結論として、
出雲大社は、無理をせず、参拝できそうな時に参拝する、
というスタイルで良いのだと思います。
出雲大社には神在祭以外にも重要な祭事があるので、
出雲大社公式サイトにある令和4年出雲大社祭日表を参考に、
自由に旅行スケジュールを立ててみてはいかがでしょう。
大社以外で神在祭が執り行われる島根県内の神社
出雲大社で神在祭が執り行われる期間中は、
島根県内いくつかの神社でも同じく神在祭が執り行われています。
神在祭が執り行われる主な神社を以下に紹介します。
- 佐太神社(松江市佐陀宮内)
*出雲國二の宮 - 朝山神社(出雲市朝山町)
- 日御碕神社(出雲市大社町日御碕)
- 熊野大社(出雲市大社町日御碕)
*和歌山の熊野三社とは別の神社です - 万九千神社 (出雲市斐川町併川)
朝山神社と万九千神社は、
公共交通機関+徒歩
で廻るのは少し不便な場所にあるので、
ブログ主のように限られた日程の場合は全社参拝するのは、
少し厳しいかもしれませんが、
時間に余裕があれば是非訪れていただきたいと思います。
因みにブログ主は日程の都合上、
朝山神社と熊野大社には参拝できませんでした(ぐぬぬ)。
次の機会に是非行きたいです。
まとめ
以上、令和三年(2021年)の出雲旅行で調べた、
『神在祭』
に関することをまとめてみました。
最低限でも情報を持っているのと持っていないのとでは、
旅行の満足度も変わります。
神在祭の時期に出雲参拝するなら、
- 大社参拝前に『稲佐の浜』へ行って”お砂”をいただく
- 夜神楽祈祷を受ける
- 縁結び大祭に参加するには事前申込みが必要
- 始まるのは”旧暦”の十月十日から
以上のことを頭の中に入れておくと、
後悔の少ない出雲参拝になるかと思います。
この記事が、これから出雲を参拝される皆様の一助になれれば幸いです。
次回 は、今回の旅の日程とレポートを書いていこうと思います。